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第19話 夫の最後

last update publish date: 2026-10-29 17:02:36

総会の翌朝。

拓真は、本社ビルのゲートの前で立ち尽くしていた。

社員証をかざしても、ゲートが開かない。

「申し訳ありません」

警備員が目を逸らしたまま言う。

「昨夜の臨時取締役会の決定で、水城様の入館権限は停止されています」

水城様。

昨日まで、ここで「社長」と呼ばれていた。

ロビーを行き交う社員たちが、拓真に気づいて足を速める。

誰も声をかけない。

拓真はビルの外へ出て、電話をかけた。

桐谷修司。

『ニュースは見ましたよ』

「話が違う。あんたの段取りどおりにやったんだ。手を貸してくれ」

『段取り?』

桐谷が小さく笑った。

『私はコンサルティング契約を結んだだけです。書類に判を押して、会社の金を動かしたのは、全部あなたですよ』

「ふざけるな――」

『今後のご連絡は、弁護士を通してください』

通話が切れた。

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